垣根を越えて1つの鍋を囲みつつ聞こえてきた地域の人々の本音。それは「怖い思いをする事は、それほど減っていない」という一言だった。
「暴走族」のイメージ払拭で始まった会
2015年、荒川地域住民の方からの「荒川を走っている自転車の人たちって暴走族みたいなんでしょ?」という衝撃の言葉を受け、自転車への理解を深めてもらい、荒川での上手な共存を目指すべく第1回「芋煮会」を開催した。それから1年、荒川での様々なマナーアップ活動を行ってきたが、マナーを守らない 自転車利用者はあまり減っていないというのが地元の方々の実感だ。
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1つの鍋で作る相互理解
サイクリストが全て準備した昨年とは違って、今年は町会側が各食材を準備し、災害時炊き出し用設備、防災用の備品類やリヤカーなども提供。当日の朝、それらを各町会の倉庫から荒川河川敷の赤羽岩淵緑地BBQ広場に搬入した。
<各丁目、計3箇所の町会事務所から資材をリヤカーで運んだ>
地元の方々とともに皆で手分けして里芋の皮をむき、牛バラ肉、こんにゃく、ゴボウ、長ネギ、しめじなどの食材を準備する。今年はしょう油味の牛肉を使った「山形 村山風芋煮」。全日本芋煮会同好会の指導を受けながら、皆でワイワイガヤガヤと調理していった。
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芋煮会は、持ち寄る、自分たちで作る、分け合う、というコミュニケーションの大切な要素が集約されており、親睦や相互理解を深めるにはうってつけのイベントである。とは、調理や会の運営をフルサポートしてくれた全日本芋煮会同好会のアンディさんの言葉。
<頼りになった…全日本芋煮会同好会のメンバーたち>
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地元区議会議員や、さいたま市自転車まちづくり推進課の皆さんが自転車で駆けつけたり、東京消防署員や国交省荒川下流河川事務所の方もご家族で遊びに来てくれたりと、官民合わせて総勢約70人が参加し、皆で舌鼓を打ちながら交流を深めた。
<6人で駆けつけてくださった、さいたま市自転車まちづくり推進課の皆さん>
ルールの順守は知ることから
今回は「芋煮会」だけでなく、住民やサイクリストを対象に自転車のルールやマナーを知ってもらうための「自転車クイズ」を実施。解かりにくい道路交通法が自転車にどのように適用されるのかなどについて、解説を交えながら理解を促した。
<質問が飛び交うなど、身近な乗り物である自転車に関するルール問題に皆、興味津々だった。>
また、グッチャリの通常活動として、荒川河川敷を走行する自転車利用者に対し、マナーアップチラシを配布してマナーやルール順守を働きかける啓蒙活動も実施した。
<マナーチラシを配る方も初めてだったメンバーもいて、興味深い経験だったと話した>
地域住民の方々によれば、「スポーツサイクルの絶対数が増えているが、マナーの悪いサイクリストの比率は少しずつ減っているように感じる」とのこ と。しかし、その一方でいわゆる「ママチャリ」などシティサイクル利用者の危険な走行が増加しており、「怖い思いをする事はいまだに減らない」という。
グッチャリとしても、全ての自転車利用者のマナーアップとルール順守意識の向上を目指して、引き続き活動を行っていきたい。
(文・瀬戸圭祐/編集:韓祐志/写真・瀬戸圭祐、黒木尊行、上野暢彦)