2022年12月、巷ではW杯サッカーの日本代表の快進撃に沸く一方で、試合後のニッポンサポーター達の座席のゴミ集めをする姿や、日本代表のロッカールームの片付けられた写真がSNSで出回り、世界中から賞賛を浴びたとか…。

<↑ 今回「いろは坂清掃活動」で出た、落ち葉のゴミ>

これはJリーグの試合でもサポーター達の間では普通に行われていることなのだそうです。Jリーグが設立され20年の月日が経ち、W杯出場が悲願だった時期から、今や決勝トーナメント進出も珍しくなくなってきています。こうした時の積み重ねは、選手や競技力のレベルアップだけでなく、関わる全ての人びとの間にひとつのカルチャーも育ってきていると言えるのではないでしょうか。
こうしたスポーツフィールドへのリスペクトは、日本ではサッカーだけではないようです。例えば野球選手は、グラウンドへの出入りには帽子を取ってグラウンドへ挨拶をします。草野球でも、公共のグラウンドを使用した後、次のプレーヤーのためにそれぞれがトンボと呼ばれる用具でグラウンド整備をするのが当たり前です。これは日本において野球が、サッカーよりも古くから国民的スポーツとして定着してきたことからも、驚くことではないのかもしれないですが、もし外国人がこうした日本のスポーツを楽しむ一般の人の習慣を目にしたら、きっと今回のW杯の時と同じような反応を示すのではないでしょうか。日本人の国民性として、こうした競技フィールドへのリスペクトの精神は日本古来の武道にも通じるのかもしれません。
この話、種目を自転車(ロードバイク)に置き換えるとどうでしょう。…多摩市内で素晴らしい活動例があるのでご紹介させていただきます。

<↑ 用意されたほうきやチリトリを持って、それぞれ黙々と清掃をするサイクリスト達>

「いろは坂」は約1kmと距離は短いものの、その名の通りのつづら折れ、標高差約50mを一気に上る坂道で、ジブリの映画「耳をすませば」の舞台にもなっている名所です。以前からそこを、地元のロードバイクの実業団チームが格好の練習場所として走り、練習会として夜に集まって、何往復もしたりしていたそうです。公道をルールに則って走っていれば何の問題もないのですが、世の中はそんなに単純な話でもなかった…のでした。近隣住民にとっては、わらわらとロードバイク乗りが集まってきて、坂道を行ったり来たり…ちょっと気味が悪いと思われたのか、警察に通報されたりしたそうです。繰り返しになりますが、交通ルールの違反は全くしていない、にもかかわらず。そうしたこともあり、メンバーの1人、中山さんは地域の人達に理解してもらいたいということ、公道ながら練習に使わせてもらっている場=道路に感謝をしたい、この2つの思いを同時に体現できる活動として、道路清掃を1人で始めたのだそうです。チーム監督の守分さんがその活動に賛同しバックアップして、仲間らも次々に加わって、「いろは坂」の年末の恒例行事として、あちこちのサイクリスト達が集まってきての大掃除となっています。いろは坂は、路肩やセンターライン付近に落ち葉がうずたかく溜まってしまい、実は清掃と言ってもかなりの人手が必要です。9時から始めて11時すぎまで掃き清めて、その後は地元、いろは坂上のロータリーに面する、ダイニング「和桜」さんのご厚意で、特製のもつ鍋が振る舞われます。

<↑ 近隣のレストランから『もつ鍋』が振る舞われた>

今年のニュースは何と言っても、片山右京さんの参加です。我々グッチャリのプロジェクトリーダーでもありますが、今やJCL/ジャパンサイクルリーグのチェアマンとして日本の自転車界を牽引している立場におられます。地元多摩市の阿部市長も視察に来られ、今回はいつにない盛り上がりを見せました。右京さんは、本稿冒頭でも触れたような、日本サッカーの歩みと競技力のレベルアップ、メジャーリーグのイチローや大谷選手のようなスーパースターの出現は、当初誰もが想像していなかったけれど、本人達は大真面目にその姿を目指して不断の努力で成し遂げたこと、自転車の世界でも日本のチームで日本選手がマイヨジョーヌを着るということを目標にしてJCLは活動をしていると言うこと、それには、このような草の根的な活動で競技への理解を得ることや、そうしたカルチャーを育んで行く事が非常に重要になってくる、皆の力を貸してください、という話をされました。

<↑ 冒頭の挨拶:片山右京 JCLチェアマン>

<↑ 冒頭の挨拶:阿部裕行 多摩市長>

奇しくも、いろは坂練習会に参加していたメンバーから、プロ選手やパラリンピックの金メダリストも輩出されるなど、まさにこの場・いろは坂から夢のステージへとつながり始めているのです。こうした活動を皆さんに知っていただくことが、日本のどこかのロードバイク乗り、もしくは別のスポーツを愛する人の何かの気づきとなり、それぞれの地域やフィールドで競技を支えていく地盤・カルチャーが健全に育っていくことにつながる…その願いを今回参加した皆さんも共有できたのではないかと思いました。

(取材・文 一般社団法人グッド・チャリズム宣言プロジェクト 代表理事:韓祐志)

 

<↑ やるなら本気で!片山右京 グッチャリリーダー>